機動戦艦ナデシコSS 二人のテンカワ
第六話 アキト・サイド(A・S) 崩壊
カイトが去り、一週間が経った……。
『は〜ほぼ、俺のエステは、八割がた、出来あがったな。』
(早く、設計図だけでも、完成させないとな、あれが来たら、嫌でも出来なくなるからな。)
【アキトクンどう?進んでる?】
『ええ、イネスさん、進んでますよ、僕のやっていたエステは、九割がた、できました。』
【そう……、カイトくんのやつは?どうなの?】
『兄貴のやつは、兄貴が、八割ぐらいまで、完成させていたから、
僕が、少し手を加えるだけですよ。』
【そう……。】
『戦艦の方は、どうですか?』
【ええ、マリさんが、がんばってやってくれているわ。】
『でも、スーパーAIが、まだですよね?』
【ああ、それは、大丈夫よ、ナデシコのスーパーAIは、私が設計者だから、
基礎設計が残ってるわ、それを、バージョンアップさせるから。】
『……なるほど。』
【でも、本当にエステ用の、あれ、作るの?】
『あっ、あれですか?作りますよ。と言うより、もう設計図はできてますよ。』
【もう?何時の間に、やったの?】
『僕じゃなくて、兄貴の仕事ですよ。』
【カイトくんが?】
『ええ、僕から観たら、兄貴の頭の回転は、まるで、化け物ですよ。』
【確かに、あの行動力は、そうね。】
『でも、兄貴が居なかったら、後、一年は、ゆうに掛かってましたね。』
【でも……、あくまでも、設計上だからね、実際作ったら、
乗りこなせない、では済まないわよ。】
『そうですね、でも、大丈夫ですよ、僕も兄貴も、今までの間に、
かなり、身体、鍛えましたから。』
【でも……、それだけじゃないわよね。】
『やっはり、判りましたか?ええ、対Gスーツや、その他に色々作りましたよ。
でも、あくまで、設計図だけですけど。』
【……そうゆう事、普通に操縦したら、Gに潰されるから、
対Gスーツを着て、Gを緩和する訳ね。】
『ま〜そんな、所です。』
【でも、今考えても、すごいわよね、あなた達兄弟は。】
『何がですか?』
【本当なら、まだ、高校生の年齢なのに、大人に混じって、エステとか、
戦艦の設計を、してしまうんだから。】
『僕にも、兄貴にも、両親達の、科学者としての血が、濃く流れてるんですよね。』
【そうね、テンカワ博士夫妻は、二人とも、優秀な科学者でしたから………。】
『イネスさん……、僕も、兄貴も、両親の事は、気にしない様にしてるんですから、
イネスさんも、あまり気にしない方が良いですよ。』
【ええ、そうね。】
『でも……、ネルガルには、それなりの償いは、してもらいますけどね。』
【償い?まさかアキトくん!!】
『違いますよ、イネスさん、それなりと言うのは、平和の為に、
力を使ってもらう事ですよ、ネルガルがする、償いは。』
【そっ、そう、それなら私にも、手伝えるわね。】
ビービービー、その時、研究所中に、警報が鳴り響いた。
【なっ!!何?】
『遂に……来たか』
[イネスさん!!アキトくん!!何なのこの警報は!!]
『マリ先輩!!イネスさん!!早くエレベーターへ!!』
【[はっ、はい]】
ウィ〜ン(エレベーターの音)
『遂に、攻撃が始まったか……。』
[攻撃?何処が?]
【…………。】
『木星……蜥蜴……。』
[木星蜥蜴?]
【アッ!アキトくん!!】
『いずれ、解るんです、良いじゃないですか。』
[?]
【そっ、そう………。】
[これから、どうするんですか?]
【そうね………、とりあえず、シェルターに、避難しましょう。】
[はっ、はい。]
『…………。』
【アキトくん?どうしたの?】
『僕は、ユートピアコロニーへ、行きます。』
[どうして?]
『少し気になる事が、あるんですよ。』
【………分ったわ。】
『イネスさん……、シェルターに行く前にちょっと。』
【何?】
『イネスさん、あの設計図は、廃棄して下さい。』
【えっ!?どうして?】
『ユートピアコロニーの自宅に、バックアップがあるんです、
それを、持って行きますから、研究所のやつは、確実に潰してください。』
【判ったわ、確実に潰しておくわ。】
『それじゃー、行きます。』
【アキトくん!!気を付けてね。】
『はい!!イネスさんも、お元気で。』
タッタッタッタッタッタ、走り出す、アキト
『イネスさん!!マリ先輩達と、16ヶ月、何としてでも、生抜いて下さい。』
【16ヶ月?どうゆう事?】
ユートピアコロニー、テンカワ家自宅……。
『よし!これでよし!もうそろそろ、あれが落ちる頃だな、……行くか。』
今までに、アキト達が作った、色々な設計図をまとめたバックを持って、呟いた。
・
・
ドカ〜ン!!火星の大気圏外から、チューリップがユートピアコロニーに落ちた。
ユートピアコロニー地下
『はい、どうぞ。』
アキトは、その時、少女にみかんをあげていた
「お兄ちゃん、ありがとう。」
元気よく少女が、アキトに御礼を言った
「すいません。」
恐らく、その少女の、母親だろう
『いえ、いいんですよ。』
「そうだ!お兄ちゃん今度アイと、デートしよ。」
『えっ!?』
「ま〜この子ったら。」
ドカ〜ン!!地下の開けたハッチが、爆発した。
『アイちゃーん!!』
「お兄ちゃん!!お兄ちゃーん!!」
『良し〜来た………ジャンプ!』
アキトは、アイが来た事を確認して、ランダムジャンプした。
『う〜ん………、ここは、地球か……、よし!これまでは、予定道理だ。』
『さて、これからは……、とりあえず、プロスさんに連絡とるか。』
・
・
・
「はい、お電話変わりました、プロスペクターですが。」
『プロスさん、覚えてますか?アキトです。』
「はい?アキトさんですか?ああ、テンカワさんですか。」
『はい!!プロスさん、久しぶりです。』
「はい、お久しぶりですね〜、テンカワさん、所で、どうしたのですか?
確か、火星は、木星蜥蜴に…。」
『………はい、攻撃されて、敵に落ちました。』
「でも、どうやって、連絡を?むっ!!この回線は、地球からですね。」
『はい、そうなんです。ユートピアコロニーで、敵に向かって行ったとこ、までは、
覚えてるんですけど、気が付いたら地球に居ました。』
「………そうですか、今何処ですか?」
『ここですか?え〜と、サセボシティーです。』
「サセボシティーですか……、分りました、今から、お迎えに行きます。」
『は〜、そうですか、判りましたここで、待ってます。』
「はい、それでは、後ほど。」
ガチャン、電話を切った後、プロスは、考えていた。
「テンカワさんが、火星から、地球に来た、それも、二日と掛からずに……、
やはり……、ボソンジャンプですかな?」
そう、呟きながら、アキトを迎えに、サセボシティーに向かった。
三時間後……。
「どうも、お待たせしました。お久しぶりですね〜アキトさん。」
『ええ、プロスさんも、お変わりなく。』
「アキトさん……、イネス所長と、その他の方々は?」
『………はい、研究所で別れたので、その先は……判りません、
でも、きっと、生きてますよ。』
「そうですね。あの〜カイトさんは、ご一緒じゃないんですか?」
『………兄貴は……木星蜥蜴に攻撃される、一週間前に、旅に出ました。』
「……旅……ですか?」
『………はい。』
「は〜、どうやら、失踪と考えた方が、よさそうですな。」
『……………。』
「……そうですか、カイトさんの事は、私にお任せ下さい。」
『いえ……、いいんです、探さなくても……。』
「…………そうですか、判りました、その事は、アキトさんに、お任せします。」
『………すいません。』
「いえいえ、いいんですよ、所で、これから、どうなさいますか?」
『え〜と……、すいません、まだ考えてないんです。』
「……それでは、こう致しましょう。しばらく、ゆっくりおやすみ頂いて、
その後は、こちらの方の、研究所に行かれては?」
『……う〜ん……、でも、それだと、自分のヤツが……。』
「あっそうでしたね。あちらの方の、設計が、あったんですよね〜、
ですが、今までの、データは、火星に有るのでは?」
『いえ……、それは、問題無いんです、ユートピアコロニーに居たのは、
研究所に有ったデータは、持ち出せなかったので、自宅に有る、
バックアップ用のデータを、取りに行ってたんです。』
「………それでは、とりあえず、しばらくゆっくり、お休み頂いて、
その後は、本社に一部屋、ご用意致しますので、そちらで、作業して頂くと言う事で。」
『はい、それで、いいです。』
あとがきは、(K・S)の方に書きます