ナデシコ ブリッジ


『何ィィィィィィィィ!!』


 ズズズズ・・・
 

 ユリカのテンカワ達が戦闘に参加できない説明にナデシコは揺れた。


 いや、マジで。


 まあ、隣でエリナさんからの通信を聞いていた僕も同じ反応をしたけど。


 現在ユリカの前には多数の真偽を問う通信ウィンドウが開いている。


 いや〜、木連の事を知って、信じなくなった連合軍もここまで腐っていたとは。

 怒りを通り越して笑えるね。


 因みにいつもは歯止め役のカズシさんも


「はっはっはっはっは!!バール!!目に物見せてくれる!!」


 とか叫んでるし。


 アキラちゃんやラピスちゃん。メグミさんにミナトさんも怖い、怖い。

 どのくらい怖いって?


 般若?夜叉?そんな物は生ぬるい!!


 今のナデシコは魔界だ。 
 

 それに今現在、ナデシコには冷静な奴なんていない。

 
 僕も含む!!


『ジュン!!予備のエステを緊急改造して、サテライトキャノンを撃てるようにした。

 お前もIFSもってんだろ、乗れ!!』


 とウリバタケさんから通信が入る。


「待ってたぜ!!」


 久々の出番だ。


『ただし!!』

 
 ウリバタケさんが更に通信を続ける。


『パイロットスーツは着ろよ!!』<複数名


 いきなり多数のウィンドウが開き同じ事を告げる。


「解ってるよ!!」


 そして、僕は久々にパイロットスーツを着こみ、格納庫に向かった。

 

 格納庫

『アカツキ ナガレ ジャッジ出るぞ!!』


『スバル リョ―コ マルス出るぜ!!』


『アリサ ファー ハーテッド ルナ出ます!!』


『オオサキ アヤ アルテミス出ます!!』


「おお、行きな!!」


 バシュゥゥゥゥ!!


『ヒカルいっきま〜す!!』

 
『マキ イズミ出る!!』


『アオイ ジュン出るぞ!!』


「おっし!!行ってこい!!」


 バシュゥゥゥゥゥ!!


 次々発進するエステ。


『チェェェェェェンジ・ライガー!!』


『チェェェェェンジ・ヘビーアームズ!!』


「暴れてこい!!」


 バシュゥゥゥゥゥゥ!!


 それにしてもイツキちゃんも良い色に染まったものだ。


『ガイア クロノス、ブロス出ますよ!!』


 今度はガイアシリーズの発進だ。  


『ガイア レア、テンカワ アキラ出ます!!』


『ガイア ヘラ、ラピス出るよ!!』


 ・・・ちょい待ち!!


「お前ら、やれるのか?」


『『誰にものを言っているの!!』』


「す、すまん。」


 バシュゥゥゥゥゥ!!


 そして最後のガイアは・・・


『ガイア ヘスティア、カズシ出るぞ!!』


「ってアンタ、IFS持ってたのか?」


『俺は『アノ』隊長の補佐だぞ!!』


「そうだな、暴れてくれよ!!」


 なんで納得できたんだ?


 バシュゥゥゥゥゥゥ!!


 全機発進完了


 後は


「レイナちゃん、武器の射出準備と、CASの準備だ!!」


「もうとっくにやってるわ!!」


「流石だぜ!!」


 さて、どう暴れた物かな。

 

 アカツキサイド


 いや〜見渡す限り敵だらけ。

 どのくらい多いって?

 そりゃ、敵のせいで空が見えないくらい。


 いつのも5倍はいるかな?しかもテンカワくん率いるブローディアシリーズなしで。


 ま、負ける気は全然しないけど。


『おいロン髪!!どんなフォーメーションで行くんだ?』


「部隊を4つと言うか5つに分ける。

 まず、ヤマダ君とヒカル君

 次に、リョ―コ君とイズミ君

 そして、アリサ君とカザマ君

 さらに、アヤ君と僕

 ついでにナデシコと砲台のジュン君

 とりあえずはこれで行こう。」


 因みにガイア達はクロノスがガンガーに

 レアがマルス、ヘラがルナ、ヘスティアがアルテミスに合体している。


 それにしても皆怖いよ、あのジュンなんか


『早く俺にサテライトキャノンを撃たせろォォ!!』


 って叫んでるし。


 あのカズシさんもさっきから含み笑いをしてるし・・・


 ん〜これは猛獣を通り越して魔獣かな?

 さしずめ僕は召喚士かな?

 いや、サモンマスターと言ったほうが適切か。


 ま、今夜のは僕も魔獣になるけど、

 いや、変な意味じゃなくて。


「さて、パーティーを始めますか?」


『了解(オウ!!)!!』

 

 

 戦闘開始、ブリッジ


「エステバリス隊の指揮はアカツキさんに任せました。

 ナデシコはエステバリス隊の援護をしつつ、敵を殲滅します。

 メグミさんは格納庫のウリバタケさん達と補給のタイミングを計算して。

 ミナトさん、今は正面の敵を消します、ポジションの確保を。

 リリスちゃんはミナトさんにベストなルートを教えてあげて。

 オモイカネとディアちゃん、グラビティーブラストの発射準備を。

 フィリアちゃん、クオンちゃんDFブレードの制御は任せたわ。」


「「『『『『『了解!!』』』』』」」

 
 あ、因みに『全世界の塵』は戦闘前までラピスに『世界の拷問100選』とうけていて

 現在『アイアン・メイデン』内にて再生中。


「ジュン君!!」


『ユリカ!!俺に力を!!』


「ジュン君、貴方に力を!!」


『パスコード解除、サテライトシステム機動』


 シュィィィィィィ・・・・

  
 空からジュン君のエステに一条の光が差し込む。


「まずは左舷23度に撃って!!」


『おっしゃぁぁぁぁ!!』


 ジャキィィン!!
ズドォォォォォォォォン!! 


 サテライトキャノンの超エネルギーにより消滅する敵。


『グラビティーブラスト発射準備完了!!』


「何時でも良いわよ、艦長!!」


「よし、前方に広域射撃、発射!!」



 ズドォォォォォン!!


「ジュン君、空いた前方にいるチューリップを狙って!!」



『任せろぉぉぉぉ!!』



 ジャキィィン!!ズドォォォォォォォォン!! 


「敵多数接近!!」


「フィリアちゃん、接近する敵を落として!!」


『解りました。』


 ザシュ!!ザシュ!!ザザザシュゥゥン!!


「艦長、ヒカルさんに武器を射出するそうです。」


「クオンちゃん、格納庫の周りの敵を排除して!!」


『了解しました。』


 ザシュゥゥゥ!!


『おお〜し、グラビティライフル射出!!』


 バシュゥゥゥ!!


『艦長、グラビティブラスト再チャージまで後30秒。』


「ジュン君、一番近いチューリップの前にいる敵を消し去って!!」


『おっしゃぁぁぁぁ!!』


 ジャキィィン!!ズドォォォォォォォォン!! 


「ミナトさん、チューリップの前に着けて!!

 グラビティーブラスト、発射!!」


 ズドォォォォン!! 

 チュドォォォォォォン!!


「さ〜まだまだいくわよ〜〜〜!!」



 アカツキサイド


 チュドォォォォォォン!!


「いや〜綺麗な花火だねぇ〜。」


 僕の目の前ではまた一つチューリップが爆発する。


 いや〜皆清々しいくらいに暴れてるよ、ホント。


 リョ―コ君の方は


『弱い!!弱すぎるぜ!!』


『ふふふふふ・・・
 
 その程度で私からお兄ちゃんを奪おうて言うの?』

 
『ふっふっふっふ、もっと綺麗な花を見せてごらん!!』


 チュドォォォォォォン!!

      ズガァァァァン!!

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 リョ―コ君はアキラ君の補助でいつもより斬れる赤雷で敵をぶった切り、

 アキラ君はファングスラッシャーで近づく敵を切り裂き、

 イズミ君はマルスの進路を開ける。


 それにしてもイズミ君もいつもより怖い・・・


 アリサ君の方は


『さぁ!!死にたいやつは前に出なさい!!』


『あはははは、どうしたの?

 こないならこっちから行くよ!!』


 最早、彼女達を止められる者はいまい、

 止める気も無いけど。


 シュン!!ヒュンシュンシュンシュン!!ダン!!
   
 カザマ君の『白百合』が更に上空へと飛び伸身前方宙返り三回捻りをする。

 
『いただく!!』


 ズガガガガガガ!!

 ガガガガガガンンン!!

 カチャ!!ドドドドドン!!

 
 『ヘビーアームズ』の必殺技、『フルオープンアタック』だ。

 でもなんでわざわざ飛ぶんだ?しかも何故空中で着地音がある?

 ま、いっか。


 
 ヤマダ君の方は


『ドリルスマッシャァァァパァァァンチ!!

 ドリルストリィィィィィィム!!

 ガンガーハンマァァァァ!!』

 

 効果音を書くのもバカバカしいくらい、『ガンガー』特有の武器を使い

 敵を落としまくるヤマダ君。


「行け行けGOGO!!』


 しかも、それを援護しながら煽るヒカル君。


 ま、今回は良いですけど。


 
 因みに僕の前では


『あははは、二連射、三連射、アローレイン、

 乱れ撃ちに束ね撃ちですよ〜〜〜〜〜!!』



『ハッハッハッハッハ!!

 アヤ、矢のイメージは俺に任せて撃ちまくれ!!』


『はい〜、月に代わって、お仕置きですよ〜〜〜!!』


 うん、凄い凄い。


「いや〜皆良い暴れっぷりだね〜。」


『そう言いながらもフェザースマッシャ―を乱射している

 アカツキ様もなかなかだと思いますよ。』


「ありがとう、フィリア君。」


 さて、まだまだ!!



 ヤマダサイド


 ガシャン!!ガシャン!!


 飛ばしていた腕を戻し、体勢を立てなおす。


「ちっ!!うじゃうじゃと、きりがねぇ!!」


『半分くらいにはなった?』


 勢いだけでここまで来たが流石にヒカルにも疲労が見える。


「ヒカル、チェンジしたい。

 少し時間をくれ。」


『良いよ。』


「ブロス!!」


『OK!!』


「『ゲキガン アウト!!』」<ブロス洗脳済み


 ガチャ!!バシュゥゥゥン!!


 俺はチェンジする為にガイアを分離する。


「アカツキの所に行ってくれ。」


『了解。』 


「じゃあ、ヒカル、頼んだ。」


『いいよ、グラビティライフル最大出力広域放射!!』


 キュィィィィィン!!ズドォォォォォォォォォン!!


 俺達が担当していた場所にの最前列の敵が消滅する。


 俺はその隙にナデシコへと戻る。



「ドラゴンにチェンジする!!」


 俺は格納庫に戻り、直ぐにCASに入る。


『良いぜ!!』


「行くぞ!!」


「『『レッツ!!ゲキガイン!!』』」<ガイ、ウリ、レイナ


 レイナがこんな事叫んでいる辺り、皆尋常でなく壊れている証拠か?


 ウィィン!!カシャン!!カシャン!!


「GO!!ドラゴン!!」


 バシュゥゥゥゥゥ!!


「ガンガートマホォォク!!」


 ブゥゥゥン!!


 ズドドドドドォォォォン!!


 俺はまず、寄ってきていた敵を戦斧で叩き伏せる。


「ヒカル、アレをやりたい!!」


『アレだね、良いよ。

 じゃあ、私が敵の動きを止めるからね。』


「おう、頼んだ。」


『じゃあ行くよ、『煌』フルバースト!!』

 
 キュィィィィィィ・・・


 バシュゥン!!


 俺の目の前に戦乙女が舞い降りる。


『ガイさん!!アレってまさか必殺技ですか?!

 待ってください、今合体しますから!!』


 慌てた様子のブロスから通信が入る。


「一人で良い。」


『でもアノ技の成功率はまだ実戦で使えるほど高くはありません!!』

 
 確かにシミュレーターでの成功率は6割程度だ、だが


『良いんだよ、ブロス。

 ガンガーはその為に少し手を加えてあるし、

 第一ヤマダも男だ、ここぞと言う時にはやってくれるよ。』

 
 お、良い事言うじゃねぇか、ウリバタケ班長。


『しかし!!』


 まだ引き下がらないブロス。


『構うな!!これでヤマダが死ぬなら、

 所詮ヤマダはそれまでの男だった、と言う事になる。

 そんな奴はこれからの戦争には付いて来れん。』


『・・・解りました。』


「言ってくれるじゃないか、見せてやるよ、俺の実力を!!」


『ヤマダ君、私も信じてるよ。

 行くよ!!サイレント・マーチ(静かなる行進曲)!!』 


 ヒカルの機体が光り、


 ガ・・・バシュン 


 ヒカルのノイズクラッシュの影響でこちらの機体のスラスターの調子が一瞬おかしくなる。

 恐らく専用のソフトの無い周りの無人機は動け無くなっていることだろう。


 この隙に


「ガンガードラゴン フルバースト!!」


 キュィィィィィ・・・


 俺の機体に力が溢れていく感じ、

 そして、余剰エネルギーの塊である光翼が展開する、この瞬間に!!


「ガンガーシャァァァイン!!」


 ギュィィィィン!!ゴオオオオオオオオ!!


 俺の機体の周りに光翼も含めた全てのエネルギーを球体状に集中する。

 そして、超エネルギーの塊となった機体ごと


「シャァァァイニングゥ・ストライカァァァァ!!」


 敵に突っ込む。


 ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 ズゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォオオオオオオ

 ドゴォォォォォォォォォン!!

 

 ナデシコ ブリッジ



 ズゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォオオオオオオ

 ドゴォォォォォォォォォン!!


 ヤマダさんの機体が光りに包まれ、敵に突撃し、進路上の敵を消し去っていく。


「ヤマダさんとヒカルさんが担当していたチュ−リップ8体

 殲滅を確認、残りの雑魚もヒカルさんによって殲滅されています。」


「ヤマダ君何をしたの?」


『説明しましょう。』


 ミナトさんの疑問に直ぐに出てくる説明おば・・おねえさん。


 今ヤマダ君が使ったのはフィールドを機体全体に纏い、

 自身が超エネルギー体になり敵に突撃する

 その名も シャイニング・ストライカー。

 この技はあのスーパーブラックサレナ・シュナイダーで

 アキト君、カイト君、メティちゃんの3人で行った Dソードダイバーと

 同じ物よ、いくらフルバーストがあるからと言っても、アキト君達3人で行った技を

 ヤマダ君一人で再現した事になるわ。

 ま、彼もこのナデシコのエステバリスライダーだった事ね。』


「当然です!!

 これくらいやってくれないと、アキトの親友は名乗らせません!!」


『それもそうね。

 さ、まだ敵は残ってるわよ。』


「勿論、どんどん行きますよ〜!!」

  
 
 その頃、リョ―コサイド


「へ、やるじゃないかヤマダ。」


 俺はイネスの説明を聞き、更なる闘志を燃やす。

 ヤマダには負けてらんないからな!!


「アキラ、俺達も行くぜ!!」


『いいよ、リョ―コさん!!』


 俺達の担当で残るチューリップは四つ。

 ちょっと角度が悪いな・・・


「イズミ、道を開けてくれ!!」


 悪ければ良い場所に行けば良い。

 
『花火を上げます。』


 新必殺技の披露と行こう。


「『マルス』フルバースト!!」


 キュィィィィィィ・・・


 解除コードに機体が唸る。


 バシュゥン!!


 そして俺は光の翼を得る。


『貴方に力を。』


 コォォォォォオオ!!


 アキラのイメージングにより赤雷に力が収束する。

 その赤雷を


 パチン!!

 
 一旦鞘に戻す。


「行くぜ、スバル一刀流 居合」


 シュゥゥゥゥン・・・バシュゥゥゥゥゥゥン!!


 俺は鞘ごと赤雷えお上段に構え、イズミが作った道を全速で駆け抜ける。

 光翼で雑魚を落としながら。


 そして


 シュン・・・


 最後尾に着て、


「迅雷。」


 パチン!!


 ズ・ズズズ・・・・・・


 ドゴォォォン!!バコォォォォン!!
 ズバァァァン!!チュッドォォォォォォ!!

 

 

 アリササイド


「ヤマダさん、やりますね。」


『ガイには負けらんないね。』


「勿論です。

 『ルナ』フルバースト!!」


 キュィィィィィ・・・


 バシュゥン!!
 

『四界の闇を統べる王

汝の欠片の縁に従い

汝ら全員の力もて

我にさらなる魔力を与えよ!!』


 シュィィィィィィン!!


 ラピスちゃんのイメージングにより、フィールドが収束していく。


「バルキュリア・ストライク!!」


 ズゴォォォォォオオオオオォォォォォオオオオオオオン!!

 

 アカツキサイド


「粗方片付いたみたいだね。」


 僕の周りではチューリップの撃破される爆音が響いている。


『こちらも詰めと行こうか。』


『そうですね。

 あ、せっかくですから、アカツキさん、最後の2つを落としてください。』


「そうかい?

 じゃあ、最後は華々しく行こうか。」



『では行くぞアヤ!!

 フルバースト承認!!』


『アルテミス フルバースト!!』


 キュィィィィィ・・・


 バシュゥン!!


『ちょっと贅沢な、アルテミスの矢の束ね撃ちですよ〜〜!!』


 バシュゥゥゥゥゥゥゥン・・・・


 ズゴドガドドドオオドゴドゴドオオオドオオオォォォォオオオン!!


 本当はこれだけで残りの二つも落とせたんだろうけど、

 わざわざチューリップを避けて雑魚だけを落としていく、

 その余波だけで。


「じゃ、行くよ!!

 『ジャッジ』フルバースト!!」


 キュィィィィィ・・・・・


 バシュゥン!!


 
『光よ!!我が手に集いて、その力を示せ!!』


 ブロス君の声と同時に僕の『ブラッド・ペイン』の刀身が光を帯び、伸びる。


「必殺!!デスぺラード!!」 


 ザシュン!!


 ズドォォォォォン!!





 ちょうどその頃、アキトサイド


「バ、バカな!!37ものチューリップが・・・」


 俺の横で膝をつくバール。


 ナデシコの皆によってチューリップは全て落とされた。

 残りの無人兵器もカザマさんとイズミさんが殲滅している。


(なんか皆スペック5割増くらいになってない?)


(怒りのスーパーモードでも身につけたんでしょうか?)


 ま、ともかく。


「約束は守ってもらいますよ。」


 俺は今だ膝をつき放心しているバールに向き直る。

 

 

その六へ続く