展望室
展望室前に来た時、またしても人の気配を感じた私は、
中を覗いてみることにした。
なんかこんなんばっかだ・・・(気にしてはいけません)
プシュ!!
私はドアを開けて、中を見てみると、
「・・・」
映し出された空を見て、黄昏ているイツキさんがいた。
イツキさんはこちらに気付いていない様だ。
「あの・・・」
私が話しかけようとした、その時。
イツキさんは大きく息を吸い込み、
手をメガホン代わりに構えて・・・
「センパァァァァァァァァイ!!
愛してまぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
バタン!!
私は即座に降りてくる自動ドアを蹴り落として閉める。
そして、廊下には沈黙が訪れる・・・
「・・・くーちゃん、私は何も見なかったし、聞かなかったよね?」
『・・・はい、私も何も記録しておりません。』
「じゃあ、散歩の続きをしよう。」
『はい。』
私達は散歩を再開した。
座禅室
「あれ?使用中?」
座禅室の前を通り過ぎようとしていた私は、
座禅室が使用中であることに気付いた。
「ん〜・・・ジュンさんあたりが使ってるのかな?」
他に使いそうな人もいないしなぁ・・・
『オモイカネ兄様に聞いてみましょうか?』
「あ、いいよ、ちょっと覗けばすむ事だし。」
私は座禅室のドアと開ける。
あ、言っておくけど、今回の私はそう言う仕様であって、
普段は覗きなんてしないよ。
プシュ!!
中いつも通り暗く、中奥で座禅している人が・・・
ん?
なんか中央に巨大な卵の様なものが・・・
それにその卵のみたいな物の後ろから声が・・・
「ほんだららった へんだららった どんがららった」
図太い声が部屋に響いている。
なんか変なリズムの音楽まで・・・
この声・・・ゴートさん?
そして、その卵の様な物の回りをまわってたのか、
人が、卵の裏から姿を見せ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・乙女には描写できません・・・・・・・・・・・・・・
「ふん♪ ふん♪」
クラ・・・
今まで経験した事の無いほどの眩暈が私を襲う。
「・・・はっ!!」
私は、気を失いそうになったが、辛うじて意識を保ち、
ガタンッ!!
即座にドアを蹴り閉める。
そして、
「くーちゃん!!・・・くーちゃんしっかりして!!」
私の後ろでフリーズしているクオンに呼びかける。
『・・・はっ!!メティ様、私は・・・』
幸いクオンはすぐに復帰してくれた。
「今は思い出さなくていいから、
すぐにファミリアを!!」
『あ、はい!!』
私はファミリアを使いドアを溶接する。
更に使える鋼鉄を呼び出し、
カンカン!!
ドドドド!!
キュィィィィィン!!
ジュゴォォォォ!!
徹底的に座禅室を封印する。
「はぁ・・・はぁ・・・これだけやれば・・・」
『あの、メティ様、一体何が?
何故か記録が飛んでいるのですが・・・』
「思い出さなくていいよ。
私も記憶が消えてるし・・・
でも封印しなければならない事は確かだったから。」
『そうですか・・・』
そして、私達は何事も無かったことにしてその場を後にする。
格納庫
私は修理の状況を見るべく格納庫へやってきた。
カオス以外のブローディアは、元々損傷らしい損傷はなかったので、
すでにエデンに送ってある。
後はフェザーとファミリアの補充だ。
で、問題はカオスとその他のエステだ。
もう、最悪だからね〜誰かのせいで。
まあ、それはいいとして、私は現状を聞くべく、
プログラムのチェックをしているルリちゃんとアキラちゃんに近づく。
が、そこで二人の会話が聞こえた。
「で、アキラ。」
「はい?」
「サブロウタとはヤッたの?」
ズガガシャァァァン!!!
アキラちゃんの操作していたアームから資材が全て零れ落ちる。
「アキラ、危ないわよ。」
しれっと、注意するルリちゃん。
「ね、姉さん!!」
対して、顔を真っ赤にして抗議するアキラちゃん。
「何をいきなり!!」
完全に平静を失っているアキラちゃん。
「あら、割と真面目に聞いているのよ?」
余裕綽々、9割はからかっているだろうルリちゃん。
まあ、それは私も気になるところだから、止めはしないけど。
『今度は立ち聞きですか?』
「いいんだよクオン、どうせリンクでも聞けるんだし。
どうせなら直接の方がいいでしょう?」
『そういう問題でしょうか?』
「まあまあ。」
と、言う訳で立ち聞き再開。
最も、ルリちゃんは聞かれている事は解っている筈だけど。
「で、どうなの寝たの?」
さらに普段の表情で圧力を掛けて問い詰めるルリちゃん。
「それは・・・その・・・サブロウタさんとそんなこと・・・」
言葉が尻窄みになるアキラちゃん。
顔も俯いて真っ赤だ。
「あら、まだなの?
あのナンパ男が相手で?」
怪訝そうなルリちゃん。
そりゃあそうか。
確かサブロウタさんは凄腕のナンパ師で落とした女性は数知れずらしいし。
まさか、全員とプラトニックな訳も無く・・・って私も凄い言葉を使うようになったものだ・・・
まあ、それは置いておいて、アキラちゃんに手を出さなかったと言うのは考えにくい。
「それは・・・その・・・」
見ていて楽しいほど赤くなるアキラちゃん。
「で、結局、貴方はどう思ってたの?
その当時は、サブロウタの事はどう思っていたの?」
更に問い詰めるルリちゃん。
「それは・・・その当時なら・・・・・・・
サブロウタがその・・・べつに私は・・・」
リンゴの様に赤くなり、俯いたアキラちゃんから
そんな答えを聞き取った、その時。
ガシャァン!!
突如、格納庫にカオスが動く音が響く。
そして
『ユリカ、出撃する、開けてくれ。』
などと言うお兄ちゃんからの通信がユリカさんに入る。
多分お兄ちゃんは完全武装だ。
『え?出撃?敵なの?』
何故かエプロン姿のユリカさん。
・・・え?
『ちょっとシャクヤクに用がある。』
『え、?シャクヤクに?』
二人が会話している所に
『待てアキト、カオスはまだ整備中だぞ!!』
カイトさんが割り込む。
確か、カイトさんはお兄ちゃんと一緒にカオスの修理をしていた筈。
『構わん、シャクヤクにいければいい。』
カイトさんの言葉を流し、それでもシャクヤクに行こうとするお兄ちゃん。
『シャクヤクに一体なんの用事なの?』
と、問うユリカさんに対し、お兄ちゃんは
『今、シャクヤクには倒さねばならん敵がいる!!』
などとのたもうた・・・
ど真面目に。
『そ、そうなの?』
お兄ちゃんの迫力に飲まれかかるユリカさん。
『まってくれ、今のアキト、感情が妙に高ぶっているんだ!!』
『俺は極めて冷静だ。』
確かに見た目は冷静に見えるが、
私達にはお兄ちゃんが負の感情を煮えたぎらせている事が解る。
『ユリカ、早く開けてくれ。』
『あ、うん・・・』
思わずハッチを開けようとするユリカさん。
『ダメだ、ユリカ!!
今のアキトは普通じゃ無い!!』
が、カイトさんが必死で止める。
『俺は冷静だと言っているだろ?
いい加減にしろ、カイト。』
あくまで平静を装うお兄ちゃん。
『何をいっているアキト!!
負の感情が昂ぶっていて、
殆どプリンス オブ ダークネスモードになってるじゃないか!!
ルリとアキラの会話を聞いてから!!』
「「「あ・・・」」」
私、ルリちゃん、アキラちゃんの声が見事に重なる。
『それが無関係とは言わないが・・・
とにかく俺は行かねばならん。』
それでも平静を装うお兄ちゃん。
「ま、待ってください、兄さん!!」
アキラちゃんは慌ててカオスに近づき、
コクピットに取り付こうとする。
「退くんだアキラ、俺は行かねばならん。」
「兄さん落ちついて、私はまだ何もされていません!!」
「今後その可能性があるなら今のうちに・・・」
「そんなこと考える兄さんなんて嫌いです!!」
「え?あ、待て、アキラ!!」
兄弟ゲンカの声が格納庫に響く。
「・・・お兄ちゃんってシスコン?」
私は思わず呟いた。
「まあ、この作者は兄たるものはシスコンではなくてはいけない。
なんて考えている奴ですから、仕様でしょう。」
私の隣に立つルリちゃんが私の独り言に答える。
「・・・それは言っていい事なの?」
私が疑問に思う中でもテンカワ兄妹の言い争いは続く・・・
数十分後
アキラちゃんの説得(?)により出撃を取りやめたお兄ちゃんと、
アキラちゃんは元の作業に戻っている。
そして、私はというと・・・
「ふ〜・・・また暇になちゃったよ・・・」
ついにナデシコを一周して来てしまった訳だ。
『ですから部屋で大人しく療養してください。』
クーちゃんはちょっと困った顔だ。
「ん〜療養って言ってもね・・・」
私はそう呟きながら、格納庫の奥まで歩いて行く。
そうね、そろそろ折り返して帰りましょう。
と、思ったその時。
「僕としてもサブロウタさん、
いえ、サブロウタは殺りに行って欲しかったですね。」
「そりゃあ、お前としてはそうだろうな。」
資材の影から何やら話し声が聞こえてきた。
誰だろう?格納庫の端の資材の影なんかで?
私は近づいて見ることにする。
「ところで例のやつの開発状況はどうですか?」
そこでは・・・あれ?誰だっけ?あの子供?
まあ、いいや、変な子供と
「おうともよ。
これを見よ!!」
ウリバタケさんが話していた。
そして、何やら肌色・・・というか人の肌の様な物を掲げる。
「おお、ついに完成したのですね!!」
歓喜の声をあげる少年。
ん〜・・・本当に誰だっけ?思い出せないわ・・・
まあ、思い出せない程度の存在だったんでしょう。
「そう、ヴァル○オーネが元である筈のエリヌースとアテナの為に作った、
超特殊装甲、人肌君X2改だ!!」
・・・は?
「この特殊装甲の凄い所は人肌と同じ温もりと弾力では無い!!
アフロディーテと同じ様に強く、そして、ある程度は自己再生もしてしまうのだ!!」
「凄いです!!流石はウリバタケさん!!」
「まあな。」
・・・ここの人って何でこう無駄に凄い物を作るのが好きなんだろう?
もっと別の場所で活かして・・・
などと私が思っている間にも会話は進んでいく。
「ただ、これを作るのにエステ10台分の開発費と、
作るのにエリヌースの顔だけでブローディア5台分の金がかかる。」
・・・
「そう言えば、この肌のデータはどうしたんです?
ちゃんとルリさんのデータを使ったんですか?」
「ああ、はじめはそうしようと思ったんだが・・・
なにせあのルリちゃんが大人しくデータを取らせてくれる筈もないし、
力ずくなんて、無理だし、仮にできたとしても後で死ぬより怖い事が待っている。」
「じゃあ、どうしたんです?」
「仕方ないから、俺達と接点があるイネス女医とアリサちゃんとレイナちゃんの
データを元にして作ったんだ。」
「3人ものデータをですか?」
「ああ、イネス女医は・・・曲がり角だし、アリサちゃんはデータをとれる時は作業服で
薄汚れてたし、アリサちゃんは、ルリちゃんと比べたら木目細かさに欠ける。」
「なるほど。」
・・・・・・・・・
「などと言っていますが?」
私はクーちゃんに記録されていた今の映像を全て、
イネスさん、エリナさん、アリサさん、レイナさんに送る。
帰って来た答えは勿論・・・
「「「「殺って良し。」」」」
「了解。」
(メティ、カオスを遠隔操作していいぞ。)
お兄ちゃんからリンクで連絡が入る。
「よし、じゃあ、行くよ。
クーちゃん!!」
『了解!!』
私はT−LINKでクーちゃんを介して、
カオスの遠隔操作を試みる。
ガチャン!!
私の意思通り腕を持ち上げるカオス。
これだけの作業だが使う集中力は普通の10倍近い。
「目標をロック。」
『ロックします。』
「グラビティライフル、最低出力、発射!!」
『発射します!!』
キュゥゥゥゥ・・・バシュゥゥゥン!!
ナデシコを壊さない様に出力を抑えた。
でも人が死ぬには十分な出力の重力波が目標に発射される。
「へへへ、御主も悪よの〜」
「いえいえ、御代官様ほどでは〜」
「「はっはっはっは・・・は?」」
ズバァァァァン!!
重力波がバカな高笑いをしていた二人を直撃する。
「「ぐべじゃみるでどみゃぁぁぁぁ〜〜〜・・・」」
訳の解らない叫び声とが聞こえる。
そして、重力波が完全に消え。
私は状況を確認しに、着弾点に近づく。
そのこには
「「・・・・」」
ピクッ ピクピク
普通は原型を留めないんだけど・・・
痙攣はしているが、生きているようだ。
「・・・あれで何で生きてるかな?」
『流石にイネスお姉様に鍛えられてるだけある・・・
と言ったところでしょうか?』
「そうね・・・」
全くもって無駄に凄い所だらけだ。
(取り合えず、私はその変な装甲のデータの削除をしておくわ。)
ルリちゃんからリンクで通信が入る。
そして私はその場を後にする。
その頃 アキト
アキトはカイトと共にカオスの整備中である。
それも大体終り。
「カイト、何か飲むか?」
休憩と水分補給を提案するアキト。
「ああ、任せる。」
「解った、じゃあ、ちょっと行ってくる。」
アキトは食堂に向かう。
そう、食堂に・・・
戻って 廊下
ナデシコも周り終え、また暇になってしまった私。
「ん〜暇だよ〜」
『メティ様、そろそろ御部屋に戻られては?』
「ん〜・・・でもねぇ・・・」
部屋に戻って寝るだけって言うのも・・・
あ、そうだ!!
「そうだ!!エデンに行こう。」
『エデンにですか?』
「うん、メルにも会いに行きたいし。」
『そうですね、そろそろ出番が無いと可愛そうですし。』
と、言う訳で、
(お兄ちゃん、エデンに行きたいんだけど・・・)
私はエデンにジャンプする為、お兄ちゃんにサポートを頼もうとした、
その時。
ドドドドドドドドドドドドドドドド
前方より宇宙船なのに砂煙を上げて近づいてくる集団。
よく見ると・・・
「た〜〜す〜〜け〜〜て〜〜く〜〜れ〜〜〜〜!!」
先頭はお兄ちゃんだった。
その後ろは・・・
「アキト〜〜私の作った特製ミックスジャムを食べてよ!!」
色だけならオレンジの本人曰くジャムの入ったビンを持ったユリカさん。
「アキトさん、私の特製栄養ドリンクを飲んでください!!」
あからさまに怪しい液体の入ったコップを持つメグミさん。
「アキト!!俺の特製濃厚ジュースだ!!」
なにやらどろどろした液体の入ったコップを持つリョーコさん。
あとは
「「「「「アキトさん!!何で私達のまで逃げるんですか!!」」」」」
ホウメイガールズを筆頭にその他の同盟の人達が、(イネス、アヤを除く)
それぞれの思い思いの料理を持ってお兄ちゃんを追っかけている。
「一人食べたら全員食べなきゃいかないだろうが〜〜〜!!」
殆ど泣きながら叫ぶお兄ちゃん。
『全員分食べるんです!!』(同盟メンバー)
・・・死を宣告されたね、お兄ちゃん。
って、こっちに向かってくるの!!
集団はこちらに一直線に向かってきている。
「お兄ちゃ・・・」
ガシッ!!
お兄ちゃんはすれ違いざまに私を抱え、そして逃走を続ける。
クーちゃんとディアは退避させた。
「メティ、何処でもいい!!
イメージングを頼む!!」
「え?うん。」
私は当初の予定通り、エデンをイメージする。
そして、私達は虹色の光に包まれ。
シュゥゥゥゥン・・・
「「ジャンプ!!」」
パシュゥン!!
エデンにボソンジャンプする。
『ああああ!!』(同盟メンバー)
それが同盟メンバーにどう映ったか。
さしずめメティと愛の逃避行・・・と言ったところか?
どちらにしろ、アキトの帰って着た時の処遇は推して知るべし、である。
地球衛星軌道上 自立自衛基地 天空城エデン
パシュゥン!!
エデンの格納庫にジャンプアウトする私達。
「はぁ・・・はぁ・・・なんとか逃げられた・・・」
全然逃げた事になってないよ。
とは口に出さないメティ。
『マスター?どうしたんですか?』
と、私達の前にブロスが姿を現す。
そう言えばナデシコに出てこなかったわね。
「うん、ちょっといろいろあってね。」
息も絶え絶えのお兄ちゃんに代わり私が答える。
『いろいろですか?』
疑問符を浮かべるブロス。
『それは帰ればすぐにわかるよ。』
と、今度はディアも姿を現す。
『帰ったら生きてられるでしょうか、アキト様?』
クーちゃんもその姿を現す。
「と、とにかく今のうちに何か策を・・・」
頭を抱えるお兄ちゃん。
と、そこに、
『あら、アキト様、メティ様、ようこそエデンへ。』
外見16歳くらいの長い黒い髪を首の後ろで結んだ。
もしディアが清楚に成長すればこうなるだろう、女性が姿を現す。
彼女はこのエデンのAIにして管理者、メリエル。
愛称はメルだ。
「ええ、あんまりこれなくてごめんねメル。」
メルはここの管理があるのでナデシコに来るわけにもいかず、
結構寂しい思いをさせてしまっている。
『いえ、私にはこのエデンがありますし。
他のAIズがいますから、寂しくはありませんよ。』
「そう、ありがとう。
ところでブロス、貴方は何をしていたの?」
近頃ブロスはナデシコで見なくなっていた。
まあ、呼べば出てくるが。
『ええ、俺はメルと一緒に例の物の開発をしていました。』
例の物、これからの闘いで切り札になるだろう物。
「そうだったの、ご苦労様。
で、どのくらい進んでる?」
『まだ1割程度です。』
『もっと資料があれば早くなるんですけどね。』
「それは仕方ないわ。
じゃあ、今は私も暇だから、一緒にやりましょう。」
『『『『了解。』』』』
そして私とクオン、メルとブロスは開発に取り掛かる。
で、お兄ちゃんとディアは
「ん〜〜・・・何とかユリカとメグちゃんとリョーコちゃんの料理だけは回避しないと・・・」
『死活問題だよね。』
無駄な抵抗をしていた。
その頃 シャクヤク
「『人誅』か・・・」
「『天誅』の書き損じだろうか?」
「いや、『天誅』と言うのは、天に代わり裁くと言う意味だ、
それに対し『人誅』とは、天が裁かなくとも、自分の手で裁く。
と言う意味があるんだ。」
倒れている俺の周りに立ち、
俺の上に捨て置かれていた紙に書かれている内容について、
論議する木連三羽烏。
「・・・あんた等には怪我人を医務室へ運ぼうと言う気は無いんですか?」
なんとか喋れるまでに回復した俺は起き上がり抗議する。
「「「俺達を放っておいて北斗殿との闘いに巻きこんだお前に言われたくは無い。」」」(キッパリ)
「ぐわ・・・」
見事にハモラレて、反撃を食らう。
「それにしても何でこんな所で倒れてたんだ?」
「好きで倒れてたわけではありませんよ!!
いきなり背後から強大なハンマーで殴られたんです。」
俺を殴ったのは確かに零夜ちゃんだ。
でも、流石に零夜ちゃんに殴り倒されましたなんていうのは情けない。
「そうか、お前、敵が多そうだからな・・・」
あ、なんか妙に納得されてるし・・・
と、そこへ。
「九十九様〜〜。」
千紗ちゃんが駆け寄ってくる。
「どうしたんだ?千紗。」
「はい、九十九様は妹さんの所在をご存知ですか?」
九十九の妹、ユキナちゃんか。
彼女がどうかしたんだろうか?
「いや、最近は連絡をとってなくてな。
ユキナの奴がどうかしたのか?」
「はい、それが、今日こんな物が届きまして。」
千紗が一枚の紙を取り出す。
どうやら手紙の様だ。
「ん、何々?『兄を落とし入れた悪女は私が退治します、安心してください。』?
どういうことなんだ?」
「それが私にも解らなかったので、せめて所在が掴めればと思いまして。」
と、そこへ。
ピッ!!
『大変よ、九十九君!!』
舞歌様からの通信が入る。
「どうしたんですか?」
『貴方、ユキナちゃんの所在をしってる?』
なんと千紗と同じ事を問うてきた。
「舞歌様もですか?今、千紗からも聞かれたんですが、
なにぶん忙しくて最近連絡をとっていないんです。」
『ちょっと待って、千紗も聞いたの?どうして?』
「それは、こんな物が届いたので。」
そう言って画面にさっきの手紙を向ける。
『・・・確定ね。』
その手紙を読み、表情がいつに無く暗くなる。
『今、ユキナちゃんはボソンジャンプの実験戦艦にいるの。
そして、それにはヤマサキが乗っているわしいわ。』
「な!!」
誰よりも早く反応した俺は思わず叫んでしまう。
ピッ!!
「格納庫!!俺の深緑皇の修理は!!」
俺は即座に格納庫に通信回線を開く。
『まだです。
移動程度しか出来ませんよ。』
「くっ!!」
ダン!!
俺は思わず壁に八つ当たりをする。
「あの、ヤマサキってあの噂のヤマサキですか?」
九十九が恐る恐る舞歌に聞く。
『・・・ええ、残念ながら。』
「じゃあ、このままではナデシコが!!」
叫ぶ九十九。
だが、
『それは違うわ。』
舞歌様がそれを否定する。
「「「「え?」」」」
俺以外は解っていない様だ、この事態の深刻さが。
『この場合危ないのは、ユキナちゃんの命よ。
そして、それは和平にも関わってくるわ。』
そう、そう言うことだ・・・
でも俺には今祈る事しかできなかった・・・
ヤマサキの、いや、草壁の策にはまらないでくれ、ナデシコ・・・
なかがき
ル:御久し振りです、皆さん。
ア:今回は謝らなくてはなりません。
作者に代わって。
ル:何人かの人には年末、何かをすると宣言しましたが。
ア:製作が間に合いませんでした。
ル;ごめんなさい。
ア:一月中には完成させたいそうです。
ル:期待していた方、いらっしゃいましたら、本当にごめんなさい。
ア:では、企画も含め、次ぎでお会いしましょう。