火星付近

戦闘宙域にて。

 

「…………い……………ろ…………」

……誰?

「……おい……………………きろ………………」

…………。

「おい……………起きろ」

あ〜、もう

起きろ!!この紫っ!!

うるさいな〜、人が折角気持ち良く寝ているのに。

 

 

 

起きろ!!この紫っ!!

スバル・リョーコは紫女(リョーコ命名。理由:紫だから。妖怪か何かか

に向かって大声で怒鳴った。

(………ったく、艦長にしろこいつにしろ、危機感ってもんを感じていないのか?)

「う………・ん…………」

自分のコミニュケに映されている『紫女』は、ようやく起きたようだ。

大きな欠伸を…………

「…………照準」

「……あ?」

……せずに、何故かラピットライフルの銃口をこちら側に向けた。

「お、おい!!おちつけ!!」

…………今の状態の彼女に物を言った所で、全くの無駄だ。

(……くっ!!フィールド………!)

間に合わない。ディストーションフィールドを展開するには、

多少の時間(1〜2秒程度)がかかってしまう。

銃の引鉄を引くのが早いか、フィールドを展開するのが早いか。

結果は火を見るより明らかだろう。

(……なら……!)

回避するしかないだろう。

紫女のライフルの照準はコックピットに絞られている。

今なら多少、機体を左右上下に動かすだけで最悪の事態は免れる………筈だ。

 

どどどどど……

 

「………くっ」

間一髪。何とか回避する事ができた。

「・……フウ、あぶねえ、あぶね!?」

ガキイ!!!!

危機を回避して気を抜いてしまったためなのか、紫女の接近を許してしまった。

今、紫女のエステの左手は、自分のエステの首根を掴んでいる。

「ぐうっ……!」

………何とかして逃げなければ。

しかし、掴まれている部分が「アサルトピット」だ。

いくらパーツを分離した所で意味が無い。

………って

(何で冷静に分析してるんだ私!?いや、この場合は冷静に分析した方がいいっつーか脱出する方法ですよ奥さん!!

 っつーか俺は味方だろ?俺が何したって言うんだよこの紫式部!!

 紫と言えば紫鏡20歳までに忘れないと身に不幸が降りかかるそうですね俺はまだ17歳だから大丈夫ですが

 艦長にでも教えてやろうかしらじゃなくてゼりですねって声●ス1年と22日ぶ優ネタに走っている場合じゃねーって

 イヤマジでああもう助けて殺助っつーかネギ坊主に助けを求めてどうするきだ私!?)

 

どうやら、リョーコは錯乱してしまったようだ。

だが、錯乱した所でどうなる問題ではない。

現に紫女のエステの右手、白い光――――ディストーションフィールドを集束しつつある。

あんな物で殴られたら細胞一つ残らず吹っ飛んでしまうだろう。

「ああ、ヤマダじゃないけどせめてもう少しかっこいい死に方をしたかったなあ………」

ガキイイイイイイイイイン!!!!!!

 

 

―――――――――――スバル・リョーコ 死亡?

 

 

 

 

 

 

機動戦艦ナデシコ

格納庫にて。

 

「……全く、そうならそうと早く言ってくれれば良かったのに…………」

がたん

「言って止まらなかっただろう?戦闘中、エステの中でパイロットスーツも着ずに寝る奴があるか?」

「いやあ、余りにも寝心地が良かった物で……」

そう言いながら自販機から出てきたオレンジジュースをリョーコに手渡す。

……何故、スバルリョーコは助かったか?

彼女が助かった最大の原因は紫(永遠にこう呼ぶ事に決定。恨みの限りを込めて

が寝惚けていたことにある。そのため、攻撃が外れて一命を取りとめたのだ。

(…………ヤマダじゃないけどスッゲエ格好わるい)

彼女がそう考え溜め息を吐いた時、

ヒュー

何かが落ちてくる音が聞こえ、

ドン

案の定、何かが落ちてきた。

その「物体」は……

「げっ!?ヤマダ!?」

………そう、ヤマダが空から降ってきたのだ。何の伏線も無く。

そのヤマダは息を大きく吸いこみ、ウリバタケを気絶させたエグゾート・ヴォイスを放った。

俺はダイゴウジガゲフゥー!?

 

ドン

ドン

ガラガラ

グシャ

「……『グシャ』?・…………」

言い終わらないうちに、ヤマダは遥か遠くにぶっ飛ばされた。

「何ですか?あの微生物は?」

アヤカは何時の間にか片手に『100t』と、書かれたハンマーを持っていた。

どうやら、ヤマダ・ジロウの事は記憶から完全に消えているようだ。

「あいつ、『読心術』でもできるのか?」

「微生物ごときにそんな事出来る訳ないでしょう?」

「ああ…………所でさっきから気になってたんだが……」

「?」

「何で俺の飲み物がオレンジジュースなんだ?」

リョーコがアヤカに奢らせた(こんなのじゃ足りないだろう)飲み物はブラックコーヒーのはずだ。

「ブラックコーヒー」と「オレンジジュース」、どう考えても間違うはずが無い。

「……私にコーヒーを買えと?

「……お前、自己中だろ?

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「はあ、はあ、はあ…………………」

どれくらいの時間が経ったのだろう?

辺りは真っ暗だ。

右も左も見えない。

……………だが、それは「奴」にとっても同じ筈だ。

仲間も皆『奴』にやられた。

ここで決着をつけなければ更に被害が出てしまう。

何よりも………

「いや、今は考えるのをよそう……」

カッカッカッカッ

足音……?

「……最後の一発………!!」

ドン

「うげっ!!」

どさ

……やった!!

大急ぎで声の上がった方へと走り出す。

タッタッタッタッタ

「……これは…………!!そんなまさか……!!」

どうやら標的を間違ってしまったようだ。

……いや、冷静に分析している場合ではない。

こちらにはもう、銃弾は残っていない。

もし、それを『奴』に知られたら……!!

たたたたたたたたたたたた………

ん………足…………音?

たたたたたたたたたたたた………

近づいて……

ガチャ

「フフフフ・………………」

「しまっ………!!」

何時の間にか、自分の後頭部に銃を突き付けられていた。

……最早こちらに銃弾はないし、下手に動こうとする物なら

頭に大きな風穴が出来てしまう。

「くっ…………」

だが……もしここで諦めてしまえば『取られて』しまう。

『取られた』後の人生なんて全く詰らない物になるだろう。

「だから………」

だからこそ、自分は諦める訳にはいかない。

諦めが人を殺す。

「私は諦める訳にはいかないの!!貴方なんかにアキトは渡せないわ!!

メグちゃん!!

「・……この状況で何が出来るって言うんです?

諦めて私達二人の門出を祝って下さい。艦長!!

叫び、メグミは銃の引鉄をゆっくりと引く。

チェックメイト

「王手詰みなんですよ?艦長?」

ドン

……撃った。

真っ暗なので良く分からないが、ユリカの頭には大きな風穴が開いているはずだ。

「……使っている銃弾はペイント弾なのに?」

「狩った………いや,勝った…………」

張り詰めていた緊張が一気に解けたため、どっと疲労が押し寄せてきた。

「ルリちゃん、明かりをつけて」

……そう、ここはナデシコ内部、メインブリッチなのだ。

(雰囲気を出すために真っ暗にしてくれと、ユリカがルリに提案した)

「・・…解りました・・………オモイカネ……」

<了解>

 

 

メインブリッチが明るくなった。

辺りは真っ赤に――――――まるで赤色のペンキをぶちまけたように赤く染まっていた。

そしてその真っ赤な「血の池(正式名称は「赤塗料の池」)」に幾人もの人間が、その身を沈めている。

先ほどメグミが倒したユリカ

とばっちりを受けたジュン

プロス

ゴート

ミナト

――――――そして、テンカワ・アキト。

………何故だか解らないが、ルリと福部提督は全くの無傷だった。

提督に至っては、呑気にお茶をすすっている。

 

 

(え………?)

メグミはその光景を見、ふと、ある一つの疑問が浮かんできた。

(………「テンカワアキト」……?)

何故、ここに彼がいるのか?

メグミは先程までの戦闘で疲れきっている頭で考える。

……が、思い付かない。

(ま、いっか。取り敢えずアキトさんをおこそっと)

そう考え、顔を真っ赤にして(ペイント弾が顔に命中したため)伸びているアキトに近づいた。

「アキト……さん?」

ペシペシ。

メグミは軽くアキトの頬を軽く2〜3回叩いた。

「………」

目覚めない。

もう一回叩いてみる。

ペシペシ。

………………

ベシベシ

………………………

バキィ

「う〜ん……?」

ようやく目を覚ましたようだ。

心なしかアキトの右頬が一段と赤くなっているような気もするが……

まあ、気のせいだろう。

「ユ……リカ……?」

アキトは、そこら辺で伸びている筈の艦長の名前を囈(うわごと)のように呟いた。

「・・……私は「メグミ」、「メグミ・レイナード」よ?」

「う………しろ」

「……後ろ?」

メグミは後ろを振り向いた。

…………そこにはとてつもなく大きいピコピコハンマー(?)を振り翳しているユリカの姿があった。

「な……?」

「所詮、メグちゃんも人の子だね?最後の最後で油断するなんて」

ゴツン☆ミ

『ユリカが気を失っている』と思っていたメグミは不意をつかれ、

ユリカの攻撃を無防備のまま、受けてしまった。

「な……ぜ………?」

確かにユリカは気絶していた筈だ。

後頭部を打たれて。

それにもかかわらず、彼女の後頭部には赤い塗料は付着していなかった。

もし、あの状態から這い上がってきたとするならば、確実に後頭部に『塗料』が付着している筈だ。

「フフフフ………メグちゃん、

私がなんでルリちゃんにブリッチの照明を暗くしてって頼んだのか解らないの?

メグちゃんが狙撃した『物』を良く見て」

(………?)

ユリカにいわれるがまま、メグミはユリカだと思い、狙撃した『物』を見る。

(……これは…………!!)

良く、目を凝らしてみれば解る。

「それ」はとてつもなく精巧に出来た――――――「人形」だ。

「そう、ウリバタケさんから没収した「等身大艦長人形」だよ?

………メグちゃん?ゆっくり眠っていて良いからね?」

(不覚……!!)

ガク

メグミ・レイナードの意識は、そのまま深い闇へと落ちていった?

 

 

 

「ふふふふふふ………」

これで宿敵(と書いて友とよむ)は倒した。

後は思う存分、アキトに甘えるだけだ。

「あ〜き〜と〜!!」

ユリカは笑顔を浮かべながら、アキトの方へと駆け寄った

 

 

 

「ふふふふふ・………甘い、グラニュー糖のように甘い。まるでワタアメが作れるくらいに」

 

 

 

 

「ねえアキト、大丈夫?顔真っ赤だよ?もしかして照れてれる?

 んもう、私達は恋人同士なんだから照れる事なんて無いんだよ?アキトの照れ屋さん。キャ☆」

ギュウウウウウウウウウ

「ぐ、ぐるぢい……胸が……胸があ!?」

…………うらやましい悩みだ。

何故、自分はこんな描写をかかにゃならんのだ。

書いた所で自分に何の利益も無いし。

そもそもア(いい加減にしろ

ギュウウウウウウウウウ

……………アキトの顔が青く・………いや、あおを通り超して土気色になってきた。

このまま死んだら殺害方法が『胸殺』になるんだろうか?

「だーずーげーでー」

「いやん☆もうアキトったらそんな顔しなガツン!!

ユリカの全身に激痛が走る。

……どうやら、頭部を思いっきり鈍器で殴られたようだ。

(誰が………?)

ルリか?瓢か?それとも……?

……薄らいでいく意識の中で、朧げながらも自分を殴った人物を確認する事が出来た。

……………そう、メグミ・レイナードだ。

右手に消化器を持ちながら、不敵に微笑んでいる。

「キ…………キャラが……違う………」

ドサ

「ふふふふふふふふふふ……………」

グラ

 

 

ドサ

……最後の力を振り絞って攻撃したのだろう。

メグミも意識を失い、倒れてしまった。

 

 

「………馬鹿?

 

 

 

――――――――――争奪戦の結果 ドロー

 

 

 

 

その3に続く