ver−B





「しのぶ・・・・・・

 悪いが、この勝負は私が貰った。

 アキトには私が最も相応しいと知れ!!」
 

 ・・・・・・暴走素子


 彼女は、『氣』でビンビンに輝く右手で、いつだったか、アキトがパンを捏ねていた時のように、ハンバーグのタネを練っていた。

 しかも、何かピンク色の輝きも、彼女を覆っていたり・・・・・・

 某北ちゃん(パパさんの方)化・・・・・・


 ケインさん、どうもすいません


 ま、自分に素直になったのかな?

 それはともかく、彼女が作っているのはハンバーグだ。

 手元に大根と下ろし金があるから、和風ハンバーグであろうと推測される。

 実際、みそ汁の用意もされているから、間違いないだろう。

 そして、ハンバーグを形にするとおもむろに、
 
「雷鳴剣!」
 

 何故に雷!?
 

 バリバリバリっ! ズガガガァァーーン!!
 
 疑問は置いといて、雷が素子のすぐそばにある岩に落ちた。

 岩は、少し帯電し、そこに素子はタマを投げつけた。
 
「みゅっ!?」
 
 この際どうしてタマに触れたかは気にしないことにしておいて、タマをアース代わりに、岩に帯電した電気を全て解放した。

「みゅ〜」

 タマは古典的ながら、ブランカのエレトリックサンダーを喰らったみたいになった。

 そう。通常の状態とレントゲン状態を繰り返したのだ。高速で。

 でもってタマはこんがりときつね色に焼けた。

 きっと、食べ頃だろう。
 


 そして素子は、電流によって起こされた熱を持って、ハンバーグを焼いた。

 一緒に、野菜も焼いた。

 米も、鍋に入れて、岩の持つ熱で炊いた。

 ・・・・・・その光景は、ひなた荘の住人達全員の目の前でやった。

 一番最初のセリフもみんな聞いてたし、タマを焼いた(?)所も見ていたし・・・・・・

 顔を真っ赤にしたり、目を白黒させたり、顔色を次から次へと変えたりもした。

 キツネとハルカは、ニヤニヤとしながら素子を見ていた。





 何だかんだで料理が出来上がった。

 ただ一つ気になるところがあるとすれば・・・・・・・・・

 何故スゥの皿にタマの丸焼きが盛られているのだ?(滝汗)
 
 とりあえずスゥは嬉しそうにしていたし、そのことについては怖くて訊けなかったしで放って置いたが。

 で、大根おろしがかかった和風ハンバーグを、素子特製の醤油風味のソースにつけて、食べる。

 その、感想。
 
「うっ、美味い!!
 
 このジューシーな肉汁と、ほうじゅんな醤油の香りがするソースが!
 
 これ以上ないくらいに見事に相まって!!
 
 そして、この微かに鼻腔をくすぐる匂いは・・・・・・紫蘇か!」
 
 ・・・なんかの料理の評論番組か?

 キツネは、
 
「素子・・・・・・これは、ホンマにアキトの嫁さんになれるかもな?」
 
 それを聞いたしのぶが、
 
「はっ、はううぅぅ〜〜

 このままじゃ、本当に素子さんに先輩を取られてしまうかも〜〜!?」
 
 ・・・・・・・・・自分に正直だね、君達。

 スゥは、タマと格闘していた。

「待ちや〜、タマ〜〜。 
 
 大人しくウチに食われろ〜〜」
 
「みっ、みぃぃ〜〜」 
 
 ・・・・・・スゥは散弾銃持ってタマを追いかけ、タマは散弾を全弾ヒレで撃ち落として・・・・・・ 
 
 やっぱタマ、キミ、普通じゃないね!
 
 ハルカは落ち着いたもので、

「素子、腕を上げたな」

 と、極々普通のコメント。

 いや、他のヤツらが普通じゃなさ過ぎるだけだが。

 最後に、なる。

「なんでよ・・・・・・

 何でよ、何でよ、何でよ何でよ何でよ!
 
 どうして私は勝てないの!?
 
 あの・・・伝説の力“武羅威”に目覚めたっていうのに!」
 
 いや、昂気は関係ないだろ、料理の腕にゃ。

 そしてその後ろではアキトと素子がLLフィールド(ラブラブ空間)を発生させていた。

 きっと近距離からの波動砲の一撃をも完全に防ぎきるだろう。




 
同時刻、地球/某所
 
 某同盟+αの面々が、会合を開いていた。

 ばきんっ
 
 突如、同盟+αの全員が机を叩いた。

 特殊硬化処理を受けた、エステバリスの装甲にも使われている樹脂製の机が、割れた。

 或いは、それをも通り越して粉みじんになった。

「・・・・・・何だか分かりませんが、無性に腹が立ちました」

「ル・・・・・・妖精ちゃん、きっとアキトがまた浮気したんだよ」
 
「アキト(さん)(くん)・・・!!(怒々ぉっ!!)
 
 全員が、この世のモノとは思えぬ、憤怒の表情になった。

 きっと、閻魔大王も裸足で逃げ出すだろう。






















ver−A

ver−C











 本星への報告書EX−7(ver−B)

 素子大暴走。

 これもまた一興。

 だけど世の中は広いもので、「メリダ島スポーツウォーズ(中編)」で紹介した「釣り人の港」にある投稿作品とか、

 そこからのリンクで行ける

 「KONなページ」

 「ボったくりん♪」

 「ニコラスクレイバーのお部屋」

  などには、更なる素晴らしい素子暴走作品がある。

 素子ファンなら、行ってみるべし。

 ただし、なるファンにはちょっと・・・・・・いや、かなりキツイかも?
本星への報告書EX−7(ver−B) 終